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ブランケット法について

(ブランケット法を利用した自閉スペクトラム症児(者)の歯科治療について)

自閉スペクトラム症について

1)社会性の障害
人とのかかわりが苦手、親を求めない、目が合わない、人の気持ちが読めない、その場の状況が読めないなどの症状がみられることがあります。

2)コミュニケーションの障害
言葉の遅れ、小声ではない独り言、オウム返し、比喩や冗談がわからない、会話が困難であるなどコミュニケーションの障害があります。

3)想像力の障害
想像するのが苦手であるため、変化に対応できずパニック、”いつも同じ状態であること”に強く固執、これが常同行動、強いこだわりとなることがあります。

この3つの症状がそろうと典型的な自閉スペクトラム症の症状ということになります。

それ以外の自閉スペクトラム症の症状として・・・



4)多動
診察室内を走り回る、勝手にドアを開ける、開いた窓に飛びのる、目を離すと行方不明

5)感覚異常
聴覚:子供の泣き声、バキューム音  視覚:蛍光灯の点滅
触角:歯磨きが苦手  味覚:サフォライド、セメント、フッ素の味
痛覚:痛みに鈍感
自己受容覚:手足の位置がわからない

6)睡眠異常
昼夜逆転、ほとんど眠らない

7)偏食
偏った食事をとる

自閉スペクトラム症児(者)の歯科治療について

はじめて歯科を受診に来られた自閉スペクトラム症児に恐くないことを体験させようとバキュームを持ち上げた途端、診療台から飛び出してしまいました。しかし、ブランケット(ネット)を使うことでリラックスして歯科の診療を受けてもらうことができています。

自閉スペクトラム症児(者)は歯科治療を大変苦手にしている方が多いようです。甲高い機械音や眩しい光、銀色の器具あるいは先のとがった器具など、感覚的に敏感な自閉スペクトラム症児(者)には耐えられないほどの刺激や情報が診療室内に氾濫していることがあげられる。そのため治療には全身麻酔を選択される方が多いです。
10数年前にブランケット(ネット)を利用したリラックス法を考案ました。このブランケット法(ネット・リラックス法)はネットに入る→ネットの中でリラックスする→嫌がらずに予防・治療ができる、という状態を作り出すものです。

ネットに包まれる、というと抑制具としてのイメージになってしまいますが、ネットに慣れてくるとリラックス誘導装置としての機能を発揮(治療のために使用するのではなく、歯科診療室での恐怖心を和らげリラックスしていただく)、身体抑制具としての役割は消滅します。ネットやベルトを強制治療の道具として使用するなど非人道的などと言われる方もいらっしゃいますが、多くの自閉スペクトラム症児(者)が自ら進んでネットに入り、ネットの中で穏やかな表情を浮かべて治療までできる方が増えてきてるのも現実なのです。

知的障害のある自閉スペクトラム症児(者)は、ブランケット法(ネット・リラックス法)を受けることにより、歯科へ来る、ネットに入る、歯科診療の各場面での協力状態が著しく改善していることがわかります。一方で自閉スペクトラム症傾向のない知的障害児(者)では統計学的に有意差はありませんでした。これらのことよりブランケット法(ネット・リラックス法)は自閉スペクトラム症児(者)に対して有効な行動調整法であると思われます。


このブランケット法は、現状の自閉スペクトラム症に対する薬物療法の欠点を補うことができる、とても有用な方法といえます。ブランケット法により予防ケアができるレベルにまで歯科に慣れることは十分に可能です。


※内容については「知的障害を有する自閉スペクトラム症児におけるネット式レストレーナーを活用した行動調整法の有効性の検討」より抜粋しています。


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