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SDR(選択式脊髄後根切断術)

選択的後根切断術(Selective Dorsal Rhizotomy : SDR)について


 
SDRは脳性麻痺の痙縮治療の1つです。沖縄県立南部医療センター・こども医療センター・小児整形外科・金城健先生のもとで行われているSDRを2025年5月より当センターでも導入し、現在は週1回程度のペースで行っています。 「痙縮」とは脊髄反射が亢進している状態で、上肢や下肢の筋が過度に緊張し、尖足歩行(つま先歩き)や下肢のはさみ歩行など運動や姿勢の障害の原因となります。また、股関節亜脱臼や足部の内反尖足変形などの骨関節変形の原因にもなります。
本法はその痙縮を改善させる治療で、3歳から8歳がよい適応年齢です。8歳以上でも運動機能の向上が見込める方にも行っています。SDRは痙縮による尖足歩行を改善させます。また、痙縮のため、座位や立位、歩行が不安定な方も、術後、座位や立位が安定し、杖や装具を用いての歩行が安定する可能性があります。筋短縮や骨関節の変形をきたす前に本法を行うことで、本来の麻痺の状態から1段階の運動能力を向上させることができます。
本法は脊髄反射の求心路である脊髄後根(感覚神経)を選択的に一部切除し、下肢痙縮を改善させます。具体的には、腰椎椎弓を切離・反転し、硬膜を切開し、馬尾と呼ばれる複数の神経の束の中から、脊髄後根を同定します。その後根を4-6本の根細糸に分け、電気刺激を行い、異常な筋電図波形と異常な筋収縮を認めたもののみを選択的に切離し、下肢の痙縮を改善させます。手術は整形外科医、麻酔科医、リハビリテーション科医、理学療法士、看護師、放射線技師など様々な職種が協力して行います。
術後のリハビリテーションは、術当日と翌日はベッド上で安静、術後2日目から徐々にギャッジアップを行い、術後5日目で座位、術後1週間で立位・歩行訓練を開始します。痙縮のあるお子さんは痙縮を利用して、歩行や姿勢の維持をしています。そのため、術後は痙縮がなくなり、一過性に筋力が低下しているように見えます。そのため痙縮により利用できていなかった筋の再教育が非常に重要になります。当センターへ通院が可能な方は3週間から1か月は入院でリハビリテーションを行い、その後外来で3か月間、集中してリハビリテーションを行います。遠方の方は3か月間入院・入所の上、集中的にリハビリテーションを行います。また、当センターで1か月間の入院治療を行い、その後、近隣の病院や療育センターに転院し、リハビリテーションを行います。
集中的なリハビリテーションは3か月から半年間必要になりますが、元の運動能力まで筋力が回復した後に、筋短縮が原因で運動能力の向上が妨げられていることがあります。その場合は術後3か月から半年を目安に追加の筋解離を検討します。
SDRは下肢痙縮を改善しますが、筋短縮や麻痺自体は改善しません。脳性麻痺のレベルにより、術後も様々な問題が起きることがあります。SDRでカバーできない問題は、筋解離や骨切り術、ボツリヌス毒素療法など組み合わせて、集学的に治療を行っていきます。
合併症は、痙縮の改善に伴う筋力の低下、知覚・感覚障害、膀胱直腸障害、髄液漏に伴う頭痛・嘔気嘔吐、創感染、腰椎側弯症・すべり症などがあります。一過性の筋力低下は術後の集中リハビリテーションで筋力訓練を行い、改善させます。感覚障害は感覚神経の一部を切離するために一過性に足の痺れやピリピリ感を訴える方がいますが、術後2−3週間で改善します。また、永続的な膀胱直腸障害を起こさないように、電気刺激の前に陰部神経が含まれる後根を確認し、予防に努めています。髄液漏も硬膜や筋膜、皮下、皮膚を細かく縫合することで防止します。感染症も抗生剤の予防投与、術中の清潔・滅菌操作で予防します。腰椎椎弓を切除した場合には術後脊椎のゆがみやずれを生じたという報告がありますが、本法は切離した椎弓を硬膜縫合後に元の位置に再縫合するため、側弯やすべり症は発生しないと考えています。
また、当センターでは、理学療法士などコメディカルから見て痙縮治療が必要な方や、痙縮治療の選択に迷う方がいた場合は、痙縮治療の多職種カンファレンスを行っています。患者様ご本人をはじめ、ご家族、整形外科医、小児科医、リハビリテーション科医、理学療法士、作業療法士、看護師など、多職種でお子様の歩行や診察、日常生活動作の確認を行い、意見交換し、皆で話し合って、治療方針を決定します。
当センターで行なっている痙縮治療、SDRについて、ご興味があれば、お気軽にご連絡ください。

 

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